注目すべき3つのニュース:通信塔と通信衛星、住‍宅取‍得能‍力、デ‍ー‍タセ‍ン‍タ‍ー建‍設や許‍認‍可手‍続‍き‍の一‍時停‍止措‍置

 
  • 通信塔は依然として必要不可欠なデジタル・インフラである:衛星通信は拡大する可能性があるものの、現代のモバイル、AIおよびデータ集約型アプリケーションに求められる処理速度、容量、信頼性を確保するには、高密度な地上基地局ネットワークが依然として必要不可欠である。
  • 住宅関連政策はより支援的な方向へと向かっている:「21世紀の住宅への道法案(21st Century ROAD to Housing Act)」は、米国における住宅供給の拡大の必要性を強調する内容となっており、戸建住宅および簡易住宅の賃貸業者にとって前向きな動きとなっている。
  • データセンターの新規建設を巡る制約は既存事業者の優位性を高める可能性:電力、水道、送電網への影響に対する監視の強化により、既存のデータセンター事業者にとって、権利が確保された土地、公益事業へのアクセスおよび既存の開発計画の価値を高める可能性がある。

今月は、特定のセクターやトピックに焦点を当てるのではなく、当社が注視している3つの不動産関連ニュースと、それらが投資家にとってどのような意味を持つのかについて取り上げます。

金利上昇局面は通常、GDP成長率の改善、雇用創出、生産能力の逼迫を背景として経済の回復によってもたらされ、これらはインフレ圧力につながる可能性があります。

そして、こうした要因は不動産のファンダメンタルズを下支えする傾向があります。

1. 通信塔と通信衛星

まず通信塔のお話から始めましょう。

このセクターはここ数年厳しい環境が続いています。

通信塔REITは、高位にあるバリュエーションを維持したまま利上げサイクルに突入し、金利上昇、予想よりも出遅れている5Gの展開、そしてT-MobileのSprint買収による通信事業者の再編といった要因を背景に、圧力を受けてきました。

足元では、SpaceXの通信衛星システムが有力な競合となり得るか否かについて、投資家の間で疑問視されています。

当社の見解は以下通りです:

モバイルデータ通信の拡大が通信塔を下支え

月間エクサバイト (1)

消費者がインターネット接続デバイスを利用する時間が長くなり、AIを活用したアプリケーションによってデータ集約型の動きがますます活発化するにつれ、モバイルデータの需要は拡大し続けています。

同時に、株式のバリュエーションは大幅にリセットされており、今後数年間にかけて収益成長が再び加速すると予想されます。

通信塔は必要不可欠なデジタル・インフラであるため、当社は引き続き同セクターに対しては前向きな見方をしています。

投資家の間では、データセンターが注目されがちですが、コンピューティング能力を最終的に消費者に結び付けるのはワイヤレス・ネットワークです。

また、衛星通信は今後も拡大を続けるとみているものの、当社ではそれは地上ネットワークにとって代わるものではなく、補完するものであると考えています。

現代のアプリケーションに求められる処理速度、容量、信頼性を確保するためには、高密度な通信塔ネットワークが今後も不可欠であり続けるでしょう。 こうした長期的な需要動向を背景に、同セクターに対してオーバーウエイトのポジションを維持しています。

2. 住宅取得能力

2つ目のヘッドラインニュースは住宅取得能力についてです。

7月に「21世紀の住宅への道法案(21st Century ROAD to Housing Act)」が成立し、これはここ数年で最も重要な超党派の住宅政策のひとつとなりました。

この法案は、住宅供給の拡大、開発プロセスの効率化、ゾーニング改革の促進および住宅価格の適正化を目的としています。

不動産投資家にとって、いくつかの条項が特に注目されています。

最終的な法案からは、機関投資家に7年後に戸建賃貸住宅の売却を義務付けるという提案が削除されました。

条項は同セクターにとって大きな懸念材料となっていました。

また、最終案には、賃貸物件専用のコミュニティや新築住宅に対する適用除外規定も盛り込まれており、これらは戸建住宅REITが顕著に優勢を持つ分野です。

この法案には、簡易住宅に関する重要な改革も盛り込まれており、融資オプションの拡充や、簡易住宅をより利用しやすく、手ごろな価格にする可能性のある変更等が含まれています。

全体として、当社は本法案が、戸建住宅や簡易住宅の賃貸事業者にとって有利なものであると考えています。

3. データセンター建設や許認可手続きの一次停止措置

3つ目のヘッドラインニュースは、今年に入り最も好調なパフォーマンスを発揮してきたデータセンターに関するものです。

人工知能、クラウドコンピューティング、そしてデジタル・インフラの継続的な成長に後押しされる形で、データセンターの需要は依然として極めて高い水準にあります。

しかしながら、新規開発を巡って政治的・規制上の監視が強化されはじめています。

最近、ニューヨーク州は、電力需要、水の消費量、送電網への影響といった課題を評価する間において、新規のハイパースケール・データセンターの建設を1年間凍結する措置を実施しました。ノースカロライナ州シャーロット市も、今後の成長をどのように規制するのが最善かについて地元当局が検討する間、新規データセンターの開発申請の一時的な凍結を承認しました。こうした動きがニュースの見出しとなっていますが、そこから読み取るべき示唆はもっとニュアンス含みなものとなっています。

短期的には、現在進行中の開発のほとんどは引き続き進められる見込みであると考えます。しかしながら、より重要なポイントとして、こうした規制が将来について何を示唆しているかということかもしれません。

電力の確保は、デジタル・インフラにおいて最も希少な資源のひとつになりつつあります。

すでに土地の権利を有し、公益事業へのアクセスができ、利用可能な容量を確保しているプロジェクトの価値は、ますます高くなっています。

言い換えれば、規制上を巡る問題は、実際には既存のデータセンター事業者の競争優位性を強化し、既存の開発パイプラインの価値を高める可能性があるとみています。

レポートをダ‍ウ‍ン‍ロ‍ー‍ド
著者について
Seth Laughlin
Seth Laughlin セス・ラフリンは、シニア・バイス・プレジデントで、不動産戦略・調査部門の責任者であり、上場不動産証券および実物不動産投資戦略における投資機会の特定や関連するテーマや戦略についての調査を統括。2025年に当社に入社する前は、グリーン・ストリート社で様々な役職を歴任し、直近では米国市場調査部門の統括責任者を務める。それ以前は、メリルリンチ社で機関投資家向けリートセクタースペシャリストを務め、ISI社ではリートアナリストとして従事。ノースカロライナ大学で学士号を取得。ニューヨーク拠点。
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