資本市場見通し
資本市場見通し
本稿は年次で公表している当社の資本市場見通しの第三版であり、今後10年間のマクロ経済状況と金融市場見通しに関する当社の見解がまとめられています。投資家の皆様が戦略的な時間軸におけるアプローチを検討する際にお役立ていただければ幸いです。当社は、現在の経済環境、資産価格および足元のバリュエーションを調査し、リターン、ボラティリティ、相関性に関する基本予測を作成しています。
金利上昇と根強いインフレが観測された2年間を経て、市場は新たなパラダイムに対応し始めています。本稿は、底堅い経済成長が続くものの、長期金利の上昇見通しを受けてバリュエーションの正常化が進むとの見方を反映したものとなっています。
まずは、過去10年間について考察してみましょう。グローバル株式の年率トータル・リターンはおよそ10%に達し、米国株式についてははトータル・リターンは12%超となりました。S&P500種指数は、2023年-2024年は暦年ベースでそれぞれおよそ25%も上昇し、バリュエーションはドットコム・バブル以来の高水準に達しつつあります。さらに、株式と債券の相関は、1990年初頭以来の高水準となっています。足元の市場環境は、運勢の逆転を示唆しています。
今後10年間については、経済の変動幅増大、地政学的不確実性の高まり、一定の高水準で推移する(正常化された)金利に特徴づけられた市場環境となる可能性が高いと考えています。これらの逆風は、テクノロジー主導の生産性向上に加えて、持続的なインフラ投資や貿易パターンの変化によりもたされ得る機会に牽引された経済成長によって緩和される可能性があります。
金利に関する当社の見解は、こうした世界の経済成長見通しと、依然として目標水準を上回るインフレ率が観測されていることを総合的に勘案したものとなっています。
賃金上昇、脱グローバル化、地政学的摩擦、コモディティ価格のさらなる上昇等を背景に、根強いインフレが続くと見ています。こうした状況を踏まえて、当社の見通しでは、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を3.25%、米国10年債利回りの「適正値」を約4.5%と想定しています。
当社は、金利上昇は広範な市場における期待リターンを押し上げる重要な役割を果たすと考えています。過去のデータは、出発点のバリュエーションがその後のパフォーマンスに大きな影響をもたらすことを示しています。
図1
MSCIワールド指数と米国債の3年間移動平均相関係数

2024年12月31日。出所:ブルームバーグ、コーヘン&スティアーズ。
過去の実績は、将来の結果を保証するものではありません。相関係数は、月次データに基づき、2つの資産のリターンが共に変動する度合いを示しています。相関係数の範囲は-1.0(完全な逆相関)~1.0(完全な同期)です。
したがって、米国株式のバリュエーションが切り下がる一方、債券は起点となる利回りが高いことがパフォーマンスの支えになると見ています。これに対して、リアル・アセットは一定期間のアンダーパフォーマンスを経て妥当な価格水準に達したように見受けられ、大幅なリターンの改善が見込める状況にあると判断しています。
当社の資本市場見通しにおいて過去2年間にわたり言及してきたように、ポートフォリオ構築では幅広く分散投資を行うことでより高いリターンを得られると当社は考えています。投資家は、最近の高いパフォーマンスを発揮している資産クラスに引き寄せられる傾向がありますが、より長期的な視野に立った見解を重要視しています。
低金利、安定したインフレ率、一貫して堅調な株価パフォーマンスに特徴づけられた期間に限定された投資経験を有する投資家が多いことを踏まえると、現在の市場を牽引している資産クラスが魅力的に映ることは理解できます。ただ、当社は経験上、過去のパフォーナンスのみに基づいてポートフォリオを構築すると、進化する市場環境の中ではリターンが標準以下にとどまり、機会損失が生じ得ることを認識しています。
図2
インフレ率はトレンドを上回る水準を維持する見込み

2024年12月31日現在。出所:ブルームバーグ、コーヘン&スティアーズ。
マクロ経済

米国の実質国内総生産(GDP)成長率は年平均1.9%、世界のGDP成長率は年平均3.4%を予想しています。新興国市場は、今後数年間、引き続き米国以外の先進国をアンダーパフォームする見通しです。世界の経済成長は、4%を上回る成長を続ける主要新興国、インフラおよび防衛関連の新規投資活動の恩恵を受ける米国以外の先進国、人工知能(AI)および規制緩和により生産性が向上している米国によって下支えされると見ています。
債券

米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的に利上げを行った過去数年を経て、金利は2024年のピークから低下しています。出発点の利回りが高いことが、今後10年間の債券リターンを支える要因となると思われます。米国債に関する当社の見通しでは、今後10年間の年率期待リターンは平均4.6% で、前回予想の3.9%から上方修正しています。
歴史的に見てスプレッドがタイト化しているなか、投資適格社債とハイブリッド証券の年率期待リターンはそれぞれ5.1%、6.1%となっています。概して、当社は米国債券全体の長期リターン予想を4.3%から4.8%に引き上げています。
株式

米国株式は2年連続で25%を超えるトータル・リターンを記録し、バリュエーションは2000年代直前に見られた高水準まで上昇しました。そのため、当社は今後10年間の米国株式の期待リターンを5.8%へ引き下げました。
バリュエーションは今後10年間で切り下がり、先進国、新興国共に米国株式をアウトパフォームし、米国とのパフォーマンス格差は縮小し始めると考えています。
リアル・アセット

リアル・アセットの各カテゴリーのバリュエーションはいずれも、妥当または魅力的な水準となっています。当社は、高金利環境下における不動産のファンダメンタルズ改善を背景に、米国リートとグローバル・リートの平均期待リターンをいずれも7.8%と予想しています。グローバル上場インフラ株の期待リターンは7.6%となっています。
世界の経済成長により天然資源株のリターンが押し上げられ、平均期待リターンは8.4%に達すると見込んでいます。コモディティの期待リターンは5.9%としています。
以下の分析では、これらの期待リターンとその裏付けとなる主な前提事項について詳しく説明します。
債券
金利の出発点が切り上がったことで、債券のリターンにプラスに作用する素地が整っています。フェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標については中立金利を3.25%と当社は見ており、今後10年間の米国債の期待リターンは4.6%と、出発時点の利回りとほぼ同水準と予想しています。
4.6% 米国債の10年間の年率期待リターン
企業寄りの政策環境と全般的に良好な企業環境を背景に、社債市場の出発点のバリュエーションが魅力的となっています。当社は、今後10年間の期待リターンについては、投資適格社債は平均5.1%、ハイ・イールド債は平均6.1%と予想しています。足元の利回りがより魅力的な水準となっていることに基づいて、これらのリターン予想は昨年よりやや引き上げております。スプレッドの動きが非線形的であり、出発点がタイトな水準にあることから、今後10年間においては、デフォルト・リスクの上昇を反映してスプレッドは断続的に拡大する可能性があると見ています。ただし、サイクルを通してのフェア・バリューのスプレッドは、現在の水準からそれほど乖離していないと考えられます。
クレジット・スプレッドの縮小と魅力的なバリュエーションを背景に、昨年はハイブリッド証券が債券市場のパフォーマンスを牽引しました。今後についても、ハイブリッド証券は引き続き優位な立ち位置にあり、投資適格債は6~8%と魅力的な利回りを提供すると考えられます。昨年のスプレッド縮小を考慮し、当社はハイブリッド証券のリターンの長期予想を6.4%から6.1%にやや引き下げています。クレジット・スプレッドは歴史的に見てタイトな水準にあるとは言え、金融セクターの強固なファンダメンタルズ(特に銀行の記録的な資本水準と堅調な業績)が安定した基盤を提供していると考えます。
図3
出発点の高い利回り水準が債券のパフォーマンスを下支え
年率期待リターンと過去10年間の年率リターンの比較

2024年12月31日現在。出所:LSEGデータストリーム、ブルームバーグ、コーヘン&スティアーズ。
過去の運用成績は、将来の成果を保証するものではありません。予測は本質的に限定的なものです。市場予測が実現することを保証するものではありません。
株式
米国以外の株式が米国株式をアウトパフォームするにつれ、世界の株式市場は今後10年間にかけて一定の水準に収斂していく可能性があると思われます。米国では、良好な名目成長率を反映して収益拡大が持続する見込みですが、利益率の圧迫が利益の足かせになりかねません。しかし、より重要なこととして、PERが若干低下していることから、リターンは年間5.8%と比較的小幅にとどまる可能性が高く、過去10年間に達成した12.5%から大きく低下することになるでしょう。投資家は、実現トータル·リターンに貢献するのは利益成長と配当利回りのみとなることを想定すべきでしょう。
5.8% 米国株式の10年間の年率期待リターン
米国以外の先進国市場が置かれている状況は異なっています。これらの市場は、労働年齢人口の減少と生産性低下という逆風にさらされているものの、配当利回りの上昇やより魅力的なバリュエーションを背景に米国株式よりも優位な立ち位置にあり、これまでのアンダーパフォーマンスから形勢は一変しています。米国以外の先進国株式市場では、今後10年間の年率期待リターンが平均7.0%に達する可能性があると当社は考えています。
新興国市場は、今後数年間、引き続き米国以外の先進国市場をアンダーパフォームする見通しです。GDPと利益率は力強い成長を見せているものの、長期的には配当利回りの低下と若干の株式希薄化が将来の予想リターンを圧迫する要因となる可能性が高いでしょう。そうした状況とはいえ、今後10年間に新興国株式市場の米国株式とのパフォーマンス格差は縮小していき、年率期待リターンは平均6.3%に達すると見込んでいます。ただし、格差縮小は、主として米国市場のリターン低下によるものとなる見通しです。
図4
米国以外の株式市場の米国市場とのパフォーマンス格差が縮小する見通し
年率期待リターンと過去10年間の年率リターンの比較

2023年12月31日現在。出所:LSEGデータストリーム、ブルームバーグ、コーヘン&スティアーズ。
過去の運用成績は、将来の成果を保証するものではありません。予測は本質的に限定的なものです。市場予測が実現することを保証するものではありません。
リアル・アセット
前述のように、当社では、マクロ経済の変動性の高まりとインフレ率の高止まりという経済環境を見込んでいます。(特にインフレ率上昇に寄与する)これらの要因は総じて、長期的にリアル・アセットのリターンを下支えする要因になる見通しです。
リアル・アセットのカテゴリー全体については、特に構造的な過小投資に人口増加、エネルギー転換、技術進歩を背景とした需要の急増が重なる市場において、需給の不均衡により投資機会が生じると当社は予想しています。仮に株価収益倍率(PER)が切り上がることはないとしても、足元のバリュエーションは妥当な水準にあると見ています。リアル・アセット間で格差が生じると思われるものの、インフレ率が今後10年間にわたり予想外に下振れた場合、世界金融危機後の大部分の期間と比べて、今後のリターン環境はかなり好ましいものになると見込んでいます。
8.4% 天然資源株の今後10 年間の年率期待リターン
天然資源株は期待リターンが8.4%と最も高く、コモディティ価格の堅調さ、足元のバリュエーション、フリーキャッシュフローの好調な伸びに支えられています。グローバル上場リートと米国上場リートの年率リターンはそれに近い水準で、いずれも7.8%と予想しています。世界の不動産のバリュエーションは見直されており、パフォーマンスは改善し続けています。グローバル上場インフラ株の期待リターンは7.6%と見込んでいます。インフラ株のリターンは、出発点の魅力的なバリュエーションや産業の電化の進展、データセンターの急成長に部分的によってもたらされる成長余地、ならびに不安定なマクロ経済環境下でのディフェンシブな特性に下支えされています。
リアル·アセットのカテゴリー全体については、特に構造的な過小投資に人口増加、エネルギー転換、技術進歩を背景とした需要の急増が重なる市場において、需給の不均衡により投資機会が生じると当社は予想しています。
コモディティの今後10年間の年率期待リターンは平均5.9%であり、複数の長期的な構造要因により下支えされています。コモディティの多くのセクターで見られる近年の過小投資に起因する供給の制約は、エネルギー転換への取り組みと地政学的動向の変化による需要面での圧力の高まりと並行して生じています。金の期待リターンは3%と、当社の長期インフレ見通しに沿った水準となっています。
長期見通しは明るいものの、投資家はエネルギー市場の供給過剰の可能性、中国の不動産市場の低迷、欧州の不動産市場に影響を与え得る地政学的緊張など、セクター固有の課題に留意する必要があります。しかし、特にリアル·アセットのユニバース全体にわたる魅力的なバリュエーションと力強い長期的な成長要因を踏まえると、これらのリスクは長期的な投資期間を通じて限定的な範疇に留まる可能性が高いと考えます。
図5
魅力的なバリュエーションの出発点と長期的な成長要因の恩恵を受けるリアル・アセット
年率期待リターンと過去10年間の年率リターンの比較

2024年12月31日現在。出所:LSEGデータストリーム、ブルームバーグ、コーヘン&スティアーズ。
過去の運用成績は、将来の成果を保証するものではありません。予測は本質的に限定的なものです。市場予測が実現することを保証するものではありません。
10年間にわたる資本市場見通しの詳細
年率期待リターンと過去10年間の年率リターンの比較

過去の運用成績は、将来の成果を保証するものではありません。予測は本質的に限定的なものです。市場予測が実現することを保証するものではありません。
(1)2014~2023年のパフォーマンス(2014年1月1日~2023年12月31日)は、以下の指標に基づいています。債券:現金:ブルームバーグ・バークレイズ米国長 期国債/クレジット指数。インフレ連動債:米国インフレ連動国債指数。米国債:ブルームバーグ・バークレイズ米国債7~10年指数。投資適格社債:ブルームバーグ・バークレイズ米国総合社債指数。ハイ・イールド債:ブルームバーグ・バークレイズ米国投資適格社債指数。ハイブリッド証券:ICE BofA固定金利ハイブリッド証券指数。長期米国債:ブルームバーグ・バークレイズ長期米国債指数。長期社債:ブルームバーグ・バークレイズ長期米国債指数。米国株式:S&P 500トータル・リターン指数。グローバル株式:MSCI ACWIトータル・リターン指数。北米を除く先進国:MSCI EAFEトータル・リターン指数。新興国:MSCI新興国トータル・リターン指数。リアル・アセット:米国リート:FTSENareitエクイティ・リート指数。グローバル・リート:FTSE EPRA Nareit先進国不動産指数。インフラ株:2015年3月31日までUBSグローバル50/50インフラ&公益事業指数(ネット)、その後はFTSEグローバル・コア・インフラ50/50(税控除後)指数。天然資源株:S&Pグローバル天然 資源株指数。コモディティ:ブルームバーグ・コモディティ・トータル・リターン指数。実物不動産:NCREIF ODCE指数。ボラティリティは標準偏差で表されていま す。これは過去のリターンのボラティリティを示す統計的な指標であり、数値が大きいほどリスクが高くなります。
予想される資産クラス間の相関の詳細

予測は本質的に限定的なものです。市場予測が実現することを保証するものではありません。相関係数は、月次データに基づき、2つの資産のリターンが共に変動する度合いを示しています。相関係数の範囲は-1.0(完全な逆相関)~1.0(完全な同期)です。
レポートをダウンロード重要:様々な投資結果の可能性に関する資本市場見通しは、性質上仮定のものであり、実際の投資結果を反映するものではなく、将来の結果を保証するものではありません。予想およびその他の情報は、情報提供と説明のみを目的としたものです。仮定のパフォーマンスには固有のリスクと制約があり、投資家はそのような情報に過度に依拠すべきではありません。コーヘン&スティアーズは実物資産に重点を置いて投資を行っているため、実物資産クラス への関心の高まりから利益を得ることになります。資本市場見通しを評価する際は、この相反を念頭に置く必要があります。他の投資対象は、実物資産と類似した特性や実物資産よりも優れた特性を有する場合があります。
コーヘン&スティアーズは、資本市場見通しまたは当資料に表明された見解と矛盾する投資判断を下すことがあります。また、コーヘン&スティアーズは、資本市場見通しまたは当資料に表明された見解とは別に異なる資料を作成し、公表することがあります。
資本市場見通しの意図は、いずれかの投資、資産クラスまたはポートフォリオについて将来のリターンを予測または推定することではありません。資本市場見通しの目的は、表示期間における各資産クラスの一般的な期待リターンに関するコーヘン&スティアーズの見解を表明することにあります。これは不正確である可能性があり、著しく不正確である可能性もある上、予告なく変更されることがあります。
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投資家は本資料に記載された指数に直接投資することはできません。また、指数の実績は運用報酬、諸費用、または税金を反映していません。ボラティリティやその他の特性が特定の投資とは異なるため、指数の比較には制約があります。当資料に掲載された傾向や相関関係が将来も継続するという保証はありません。
掲載されている情報は受託者の立場で提供されたものではなく、投資家の年齢、他の投資、財務状況、税務上の地位、投資目的、投資経験、運用期間、流動性のニーズ、またはリスク許容度を考慮していません。記載された情報は正確であると考えていますが、その網羅性を表明するものではなく、投資戦略の決定に際して適切性を判断する唯一の情報源として依拠すべきではありません。コーヘン&スティアーズは、投資、税務または法務上の助言を提供しておらず、投資判断に関する助言を行いません。投資判断を下す前に、個別の状況に関して投資、税務または法務の専門家にご相談ください。
基準と方法論
これらの予想に対する入力情報には、リターン、ボラティリティ、資産クラス間の相関が含まれます。一般的に前提事項はリアルタイムで更新されないため、結果は使用のたびに、また時間の経過とともに変化する可能性があります。このような予想はすべて変更される可能性があります。すべての市場の利回りは、2024年末時点で得られた水準に基づいています。
リターンの期待値は様々な要因によって左右されます。債券については、金利の予測は、経済成長率、インフレ率、政策への期待に加え、イールド•カーブの形状、実質金利とブレークイーブン•インフレ率の予想水準、信用スプレッ ドなどの要因に基づき、様々な年限において決定されます。これらの金利は、債券利回りの出発点、ベンチマークのデュレーションを前提としたキャピタル•ゲインまたはキャピタル•ロス、および利回りを考慮してトータル•リターン の期待値を計算するために使用されます。米国債のリターンは、インフレ率の水準、将来の短期金利の動向、およびイールド•カーブの形状に関する予想に基づいています。社債、ハイ•イールド債、ハイブリッド証券を含む債券のリ ターンは、公正価値スプレッド水準の予想に加え、景気サイクルを通じた過去の格下げリスクとデフォルト•リスク の調整に基づいています。
上場リアル•アセットを含む株式については、様々な要因がトータル•リターンの予想に寄与します。予想は利益成長 率と公正価値倍率の推定値に基づいています。利益成長率の予想値は予想される利益率と配当性向から導かれ、バリュエーション倍率は予想される金利、リスク•プレミアム、成長率に基づきます。バリュエーションの変動は、金 利、リスク•プレミアム、成長率、利益率の予測によって左右されます。配当利回りもトータル•リターンに寄与します。
コモディティについては、指数レベルのスポット•リターン、ロール•リターン、および担保リターンに関する予想を導 くことで、コモディティのトータル•リターンに係る投資可能リターンを予測します。スポット•リターンはインフレ率 と需給•在庫バランスの期待値の関数、ロール•リターンは商品先物カーブの標準的な形状の関数、担保リターンは 短期金利の予測値の関数です。
ボラティリティの見通しは、過去の経験と、成長率、インフレ率、政策などに関連する変化の予想によって左右されます。非上場不動産のボラティリティは、経済のボラティリティをより正確に反映するように(ゲルトナーの学術研究に従って)調整され、非上場不動産のリターンに存在する自己相関/平滑化が補正されます。相関関係は過去の相関関係を反映しています。
将来的なボラティリティと相関関係の見通しは、過去の結果に基づいています。ボラティリティのデータは、それぞれの市場に対して利用可能なすべての過去データを使用しています。相関関係のデータは共通の出発点を使用しています。将来の経済状況と市場環境により、今後数年間で異なる実績が生じる可能性があります。
非上場不動産は流動性が低いため、非上場不動産のリターンは通常、資産がより頻繁に評価された場合に実現されるボラティリティ水準を過小評価する傾向を示します。当社は、統計的な調整(デビッド•ゲルトナー、1993年、「効 率的市場を想定せずに評価額から市場価値を推定する」)を適用して、評価に基づく一連の非上場不動産のリターンにおける一次自己相関を調整することにより、記載の期間における非上場不動産のリターンについて真のボラ ティリティをより正確に反映する推定値を導きました。この調整は、非上場不動産と他の資産クラスとの相関関係の計算にも適用されています。推定値は本質的に不確実であり、実際の結果を反映しない可能性があります。統計分析を実施する際に異なる要因または仮定を利用すると、示された推定値とは大幅に異なる結果になる場合があります。非上場不動産への投資は、全投資額の損失を含む多大なリスクを伴います。
資本市場見通しに対する一部の入力情報は、コーヘン&スティアーズが掲載日時点で信頼できると考える情報源から取得されています。しかし、コーヘン&スティアーズは、そのような情報の正確性や完全性、またはそのような情報が将来変更されないことを保証することはできません。当資料の内容および資本市場見通しに対する入力情報は、発行日(または当資料に言及されているそれ以前の日付)時点で最新のものであり、予告なく変更されることがあります。コーヘン&スティアーズは、資本市場見通しに対する入力情報、あるいはその結果の完全性または正確性について、明示的または黙示的を問わず、いかなる保証または表明も行いません。
投資に関するリスク:普通株式には特別なリスクがあります。普通株式は従来、長期的に見て債券よりも高い平均リターンを生み出してきましたが、リターンのボラティリティも大きくなっています。普通株式は、発行体固有の事象や株式市場の一般的な動向に起因する市場価値の不利な変化の影響を受けやすい場合があります。普通株式の価格は、発行体の財務状況や関連する株式市場の一般的な状況に関する投資家の認識の変化、発行体に影響を与える政治的または経済的事象の発生など、様々な理由で変動します。
債券への投資に関するリスク:債券は、発行体が元本および利息を適時に支払う能力、金利の変動、発行体の信用度、および一般的な市場の流動性に左右されます。
金利が上昇する環境では、債券価格が下落する可能性があり、その結果、一定期間にわたってボラティリティが高まり、ポートフォリオの解約が増加する可能性があります。金利が低下する環境では、債券から得られるインカムが減少する可能性があります。長期証券は、金利変動の影響をより受けやすい場合があります。ハイ•イールド債(「ジャ ンク債」)は、格付けが低い証券であり、信用リスクや流動性リスクが高水準となる場合があります。米国財務省証券は、元本および利息の支払いに関して米国政府の全面的な信頼と信用による裏付けがあります。
不動産証券への投資に関するリスク:不動産証券への投資に関するリスクは、不動産への直接投資に伴うものと同様であり、経済•法律•政治•技術の動向に起因する空室率の上昇や賃料の下落による不動産価値の低下、流動性の欠如、分散の制約、金利変動や市場の後退といった特定の経済要因への感応性などが挙げられます。
グローバル・インフラ証券への投資に関するリスク:インフラ証券の発行体は、様々な政府当局の規制を受ける可能性があ り、顧客への請求料金に対する政府規制、業務上およびその他の事故、関税、ならびに税法、規制政策、および会計基準の変更の影響を受ける可能性があります。
米国外証券への投資に関するリスク:米国外証券は、為替変動、流動性の低さ、政治および経済的な不確実性、会計基準の差異など特別なリスクを伴います。一部の米国外証券は中小企業によって発行されている場合があり、大企業の証券に比べて価格変動の影響を受けやすく、流動性が低い可能性があります。
エネルギー・セクターへの投資に関するリスク:エネルギー・セクターが低迷した場合、エネルギー•セクターに集中 した戦略は、同セクターに集中していない戦略に比べて大きな影響を受ける可能性があります。さらに、エネルギ ー•セクターへの投資には、コモディティ価格のリスク、枯渇リスク、需給リスク、金利取引リスク、関連当事者リスク、 リミテッド•パートナー•リスク、劣後MLP(マスター•リミテッド•パートナーシップ)ユニットのリスクなど、いくつか の固有のリスクが伴います。エネルギー業界に投資するMLPは、エネルギー商品価格の大幅な変動や政治および規制の動向に左右されるため、非常に不安定です。
コモディティへの投資に関するリスク:コモディティ連動デリバティブ商品への投資は、伝統的な証券への投資に比 べてボラティリティが大きくなる可能性があり、特にレバレッジを伴う場合はその傾向が強くなります。コモディティ連動型デリバティブ商品の価値は、市場全体の変動、コモディティ指数の変動、金利の変化、あるいは干ばつや洪水、天候、家畜の疫病、禁輸措置、関税、国際的な経済•政治•規制の動向など特定の業界やコモディティに影響を及ぼす要因によって影響を受ける可能性があります。デリバティブの使用は、伝統的な証券に直接投資する場合のリ スクとは異なるリスク、場合によってはそれ以上のリスクをもたらします。もたらされるリスクには、市場リスク、信用リスク、カウンターパーティ•リスク、レバレッジ•リスク、流動性リスクなどがあります。デリバティブの使用は、原資産 の価格または価値、指数、あるいは金利の不利な変動により損失につながる可能性があり、これはデリバティブの特定の特性によって増幅される可能性があります。いかなる特定の戦略やファンドについても、その有効性、または達成される可能性のある実際のリターンについて表明または保証するものではありません。先物取引は変動が大きく、高いレバレッジが掛けられ、流動性に乏しい場合があります。商品先物契約および商品先物オプションへの投資は、価格の変動性が高く、急速かつ大幅な価格変動の影響を受けます。このような投資は、多額の損失を招く可能性があります。オプション戦略が成功する保証はありません。商品先物オプションは、リスク調整後のトータル•リター ンを高めるために使用されます。しかし、オプションの使用は、市場の下落からの保護を全く提供しないか、部分的 にしか提供しない可能性があります。商品先物契約のリターンのパフォーマンスは、購入または売却対象のオプションの原資産となる商品や指数のパフォーマンスに連動しない場合があります。このようなベーシスリスクにより、全体のリターンが低下する可能性があります。
天然資源株への投資に関するリスク:天然資源会社が発行する有価証券の市場価値は、自然界で発生する事象、インフレ圧力、国際政治など、多くの要因の影響を受ける可能性があります。戦略が天然資源会社に多額の投資を行う場合、天然資源セクターの低迷時に戦略のパフォーマンスが低下する恐れがあります。
ハイブリッド証券への投資に関するリスク:投資は、いずれの市場においてもリスクを伴います。一般的に、ハイブ リッド証券の投資リスクは債券の投資リスクと類似しており、信用リスクや金利リスクなどがあります。ほぼすべて のハイブリッド証券に発行体による繰上償還条項が付いているため、期限前償還リスクや再投資リスクも重要な検討事項になります。さらには、配当の繰延べや不払い、社債や弁済順位が上位にあるその他の債券に対する劣後構造、議決権が限定的であるためコーポレート•ガバナンス上のリスクが高いなど、株式に類似したリスクもあります。ハイブリッド証券に関連するリスクは、その他の投資に固有のリスクとは異なるものです。特に、仮に倒産した場合、ハイブリッド証券は普通株式に対しては弁済順位が優先しますが、その他すべての企業債務に劣後します。企業の 資本構造の中で社債はハイブリッド証券よりも弁済順位が上位に位置し、倒産した場合はハイブリッド証券に優先 することを認識しておくことが重要です。地方債は州政府や地方政府、およびその機関によって発行され、保証され ています。地方債の利息に対しては、州および地方の所得税が免除されることが一般的です。米国債は米国政府によって発行され、元本および利息の適時支払いに関して米国政府の全面的な信頼と信用による裏付けがあるため、一般にすべての債券の中で最も安全性が高いと考えられています。ハイブリッド証券は格付けが投資適格に満たない場合や、未格付けの場合があります。投資不適格証券または同等の未格付け証券は一般的に、高格付けの証券に比べ、価格の変動が大きく、元本を割り込むリスクがあり、また、経済や競合する業界の現実または事実上の悪条件の影響を受けやすい可能性があります。
コーヘン&スティアーズ・ジャパン株式会社は、投資運用業及び投資助言・代理業者として関東財務局に登録されています。(関東財務局長(金商)第3157号)