インフラ株式市場の年央見‍通‍し:堅‍調‍な上‍半‍期‍の実‍績‍が、今‍後‍の投‍資機‍会‍へ‍の確‍信‍をさ‍ら‍に高‍め‍る

 
  • グローバル上場インフラ株式は2026年上半期に力強いパフォーマンスを示しました。7月末までの年初来リターンは11.3%となり、生活や経済活動に不可欠なインフラ資産に対する底堅い需要や、実物資産としての性質や陳腐化リスクの低さが投資家から評価されました。
  • ミッドストリーム、電力、LNG関連インフラ、鉄道、港湾が市場を牽引しました。一方で、空港、有料道路、コミュニケーション・セクターは、金利動向、地政学的な不確実性、衛星通信との競争を巡る懸念などを背景に相対的に出遅れました。
  • 中長期的な見通しは引き続き良好と考えています。デジタル化の進展、AI関連の電力需要拡大、送配電網の信頼性向上ニーズ、サプライチェーン再編などが追い風となるとみています。一方で、セクター間のパフォーマンスにはばらつきがみられ、アクティブ運用の重要性が一段と高まっています。

2026年上半期は、上場インフラ株式が現在の市場環境において最も魅力的な投資機会の一つであるとの当社の見方を、改めて裏付けるものとなりました。

上場インフラ株式は7月末までに11.3%のリターンを記録し、多くの伝統的な資産クラスを上回るパフォーマンスとなりました。また、生活や経済活動に必要不可欠な資産が持つ底堅さと安定性を改めて示しました。

こうした特性は、世界的に先行き不透明感が高まり広範な株式市場が下落する一方、国債利回りが上昇した1-3月期において特に際立ちました。債券はこれまで株式市場の下落局面で一定の分散効果を発揮してきましたが、利回り上昇によってその効果が限定的となるなか、インフラ資産のディフェンシブな特性が改めて評価されました。

また、投資家の関心は、いわゆる「HALO資産」(Hard Asset, Low Obsolescence:陳腐化リスクが低い実物資産)へと向かいました。一方で、AI投資による収益化の見通しやハイパースケーラーによる巨額投資の持続性に対する疑問が高まったことから、テクノロジーセクターの上昇基調に対しては慎重な見方もみられました。

セクター別では、ミッドストリームが最も好調なサブセクターの一つとなりました。特に原油関連事業者は、原油価格の上昇を背景に、エネルギー生産の拡大や関連インフラ需要の増加が期待されたことから堅調に推移しました。

また、AIの普及に伴う電力需要の拡大を追い風に、電力セクターも良好なリターンを実現しました。

さらに、液化天然ガス(LNG)関連企業も、欧州における天然ガス価格の大幅上昇が支援材料となり、堅調なパフォーマンスとなりました。

鉄道セクターは、貨物輸送量の力強い伸びを背景に貨物輸送サイクルに改善の兆しが見られたことから堅調に推移しました。また、港湾セクターも貨物輸送ルートの変更等による恩恵を受けました。

一方、出遅れたセクターを見ると、空港セクターはイラン情勢に伴う航空便の混乱やジェット燃料価格の上昇が重荷となりました。

有料道路セクターも軟調でした。景気変動耐性の高いディフェンシブな特性を持つ一方、金利動向の影響を相対的に受けやすいことから、金利上昇が逆風となりました。

最も低調なパフォーマンスとなったのは主に通信塔事業者で構成されるコミュニケーション・セクターでした。この点については少し詳しく触れたいと思います。同セクターの重しとなった要因は2つありました。

第一に、金利上昇です。

第二に、Starlink社に代表される低軌道衛星通信システムが通信塔にとって実質的な競争相手となり、地上通信インフラに対する需要を損なう可能性があるとの見方が広がったことです。

私たちは異なる見方をしています。モバイルデータ通信需要は引き続き拡大しており、消費者がスマートフォンなどのインターネットに接続された端末の利用時間が増加していることに加え、AIを活用したアプリケーションの普及によって、より大量のデータ通信が必要となっているためです。

モバイルデータ通信の拡大が通信塔を下支え

グローバルにおけるモバイルデータ通信量の予想
月間エクサバイト(1)

同時に、バリュエーションは大幅に調整されており、今後数年間にわたり利益成長は再び加速することが見込まれています。

また、衛星通信の普及は今後も進むとみていますが、私たちは衛星通信が地上通信ネットワークに取って代わるものではなく、むしろ相互補完的な役割を果たすと考えています。

将来の通信ネットワークは、衛星通信網と地上通信ネットワークを組み合わせたものになるとみており、いずれの分野にも魅力的な投資機会が存在すると考えています。

今後を展望すると、グローバル上場インフラ株式の投資魅力は引き続き高いと考えています。

経済のデジタル化、サプライチェーンの再編、そしてエネルギー需要の増加は、今後もインフラ投資を支える構造的な追い風となる見込みです。

また、マクロ経済環境も引き続きインフラ株式を下支えするとみています。

経済活動は底堅く推移しており、インフラ需要を支えています。加えて、金融および財政政策も引き続き経済成長を下支えする環境にあると考えています。

さらに、2026年上半期に力強いパフォーマンスを示した後も、上場インフラ株式のバリュエーションは広範な株式市場と比較して依然として魅力的な水準にあると考えています。

上場インフラ株式のバリュエーションは、魅力的なエントリーポイントを示唆

足元において上場インフラ株式はグローバル株式に対して大幅に割安な水準
2010年12月~2026年6月

私たちは、特に電力需要の長期見通しについて前向きに見ています。

AI関連および電化主導の米国の電力需要は、2030年まで年率平均3~5%の成長が見込まれている

AIの普及、データセンターの拡大、そして送配電網の信頼性向上へのニーズの高まりを背景に、電力、天然ガスおよび関連エネルギー・ネットワーク全体において大規模な投資需要が生じています。

市場の関心は主として電力需要の拡大に向けられていますが、経済のデジタル化が引き続き進展するなかで、新たな投資機会も生み出されています。

一方で、私たちはインフレリスクや通商政策、さらには規制当局の判断が、セクターや企業ごとのパフォーマンスに大きな差をもたらす可能性がある点にも留意しています。特に、料金負担への懸念が高まるなかでは、その影響がより顕著になる可能性があります。

こうした環境下では、アクティブ運用の強みが発揮されやすいと考えています。

レポートをダ‍ウ‍ン‍ロ‍ー‍ド
著者について
headshot of Benjamin Morton
Benjamin Morton ベンジャミン・モートンは、エグゼクティブ・バイス・プレジデントで、当社グローバル・インフラ株式戦略の統括責任者兼シニア・ポートフォリオ・マネージャーとして従事。
5809608