ハイブリッド証券とハイ·イールド債が優れた組み合わせである理由
ハイブリッド証券とハイ·イールド債が優れた組み合わせである理由
多くの投資家が利回りを求めて高リスク債券に目を向けていることから、分散投資の重要性が高まっています。魅力的な利回りと、異なる特徴を持つハイ·イールド債とハイブリッド証券を組み合わせることで、伝統的な債券投資を補完できる可能性があります。
要 旨
- ハイブリッド証券のインカムは投資適格債券の中でも最も高い水準にあります。
- 発行体の重複が少ないことから、ハイブリッド証券は、ハイ・イールド債への配分と組み合わせた場合、ポートフォリオの分散効果が高まります。
- 歴史的に見てバリュエーションが現在魅力的な水準にあるハイブリッド証券は、リスク調整後リターンの向上に寄与する可能性があります。
多様なインカムの源泉
ハイブリッド証券は通常、信用格付けの高い企業により発行されますが、一般的に数ノッチ低格付けの債券と同等の利回りを提供します。ハイ•イールド債の場合、発行体の高い信用リスクがが高いインカムをもたらしています。ハイブリッド証券の投資家は、破綻時の弁済順位の劣後性、つまり、弁済されなかったり、弁済を繰り延べられる可能性(実際には歴史的にまれ)、さらにハイブリッド証券が一般的に有する構造上の複雑性を反映して、相対的に高いインカムを得ることができます。分散投資により損失が防げるわけではありませんが、ハイブリッド証券の特性を生かして投資家のポートフォリオにおける様々なリスクに対するエクスポージャーを分散することができます。
図1
ハイブリッド証券は魅力的なインカムを提供する一方、発行体の信用リスクははるかに低い
平均信用格付けと利回り

2024年12月31日現在。出所:ICE、スタンダード&プアーズ、コーヘン&スティアーズ。
過去の実績は、将来の結果を保証するものではありません。上記の情報は説明のみを目的としており、コーヘン&スティアーズが管理するファンドまたはその他の口座のパフォーマンスを反映するものではありません。利回りは償還利回りで表示しています。ハイブリッド証券は、ICE Large Cap Capital Securities Custom Index(対米ドル為替ヘッジ付き)に基づいています。ハイ·イールド債は、ICE BofA Global High Yield Bond Indexに基づいています。指数の定義および追加開示情報については巻末の注記をご参照ください。
セクターによって異なる動き
ハイブリッド証券は通常、金融サービスや公益企業など、厳しく規制されている業界に属する企業や、パイプライン、不動産投資信託(リート)といった実物資産を有し且つ高キャッシュフローを創出する企業、つまりはキャッシュフローの安定性を反映して従来からデフォルト率の低い企業により発行されています。対照的に、ハイ·イールド債市場は一般消費財、資本財•サービス、素材など、景気動向に敏感なセクターへの集中度が高いため、従来からボラティリティが高い傾向にあります。ハイブリッド証券とハイ·イールド債を組み合わせることで、市場の特定分野でストレスが生じても影響を受けにくくなる可能性があります。
従来から、ハイブリッド証券は株式や他の債券に対して大きな分散効果をもたらす相関性を示してきました。その一つの理由は、ハイ·イールド債を含む伝統的な債券市場における発行体が、ハイブリッド証券の発行体と大きく異なることにあります。また、ハイブリッド証券は通常の債券とは異なり、大半の場合、デュレーションの短縮につながるクーポンがリセットする構造を有しており、これがハイブリッド証券の最大の差別化となる特徴となっています。相関性の低さは、ハイブリッド証券がポートフォリオの有効な分散投資の手段となり得ることを示しています。
図2
ハイブリッド証券は債券ポートフォリオに分散効果をもたらし得る
1.3兆ドル規模のハイブリッド証券市場の概要

2024年12月31日現在。出所:ブルームバーグ、ICE、コーヘン&スティアーズ。
過去の実績は、将来の結果を保証するものではありません。上記の情報は説明のみを目的としており、コーヘン&スティアーズが管理するファンドまたはその他の口座のパフォーマンスを反映するものではありません。相関性は2つのデータの相互の関連性を示す統計的尺度で、数値が1の場合、完全な正の相関にあることを示し、0の場合、完全に相関性がないことを示します。指数の関連性、定義、追加開示については巻末注をご参照ください。
魅力的な相対価値
ハイ·イールド債とハイブリッド証券のインカムの差異は現在、従来と比べると比較的小さくなっています。さらに、世界のハイブリッド証券市場において存在感が高まっている偶発転換社債(CoCo債)のインカム水準は現在、ハイ·イールド債を上回っています。これは魅力的な相対バリュエーションにおいてハイブリッド証券へ資産を配分する好機であると当社は捉えています。
図3
歴史的に小さい利回りの差異は潜在的な相対価値を示唆
利回り比較
ハイ・イールド債とハイブリッド証券(2014年1月~2024年12月31日)

2024年12月31日現在。出所:ICE、コーヘン&スティアーズ。
過去の実績は、将来の結果を保証するものではありません。上記に示された過去の傾向が将来も繰り返される保証はなく、そのような傾向がいつ始まるかを事前に知る方法はありません。利回りは償還利回りで表示しています。ハイブリッド証券は、ICE Large Cap Capital Securities Custom Index(対米ドル為替ヘッジ付き)に基づいています。ハイ·イールド債は、ICE BofA Global High Yield Bond Indexに基づいています。月次の数値に基づいています。利回りスプレッドは、異なる債券間の利回り格差を意味します。定義および追加開示情報については巻末注記をご参照ください。
組み合わせて保有することでリターンが向上
相関性が低く、高いリターン特性を考慮すると、ハイブリッド証券への資産配分はハイ·イールド債への投資の有効な分散手段となる可能性があります。ハイ·イールド債とハイブリッド証券を50対50で配分した場合、過去5年間におけるリターンはハイ·イールド債のみに投資した場合のリターンを上回る一方で、ボラティリティは抑制され、結果としてリスク調整後のパフォーマンスは改善しています。
図4
ハイブリッド証券への配分でリスク調整後リターンが向上
パフォーマンス特性(2024年12月31日までの5年間)

2024年12月31日現在。出所:ICE、コーヘン&スティアーズ。
過去の実績は、将来の結果を保証するものではありません。上記の情報は、コーヘン&スティアーズが管理またはサービスを提供するファンドまたはその他の口座のパフォーマンスを反映するものではなく、投資家が上記のようなパフォーマンスを経験することを保証するものではありません。ハイブリッド証券は、ICE Large Cap Capital Securities Custom Index(対米ドル為替ヘッジ付き)に基づいています。ハイ·イールド債は、ICE BofA Global High Yield Bond Indexに基づいています。ボラティリティは、平均値からの乖離(ばらつき)の度合いを示す標準偏差に基づいて計測されます。利回りは償還利回りで表示しています。指数の定義および追加開示情報については巻末の注記をご参照ください。
指数定義 / 重要な開示事項
投資家は本資料に記載された指数に直接投資することはできません。また、指数のパフォーマンスは運用報酬、諸費用、または税金を反映しておりません。
ハイブリッド証券:ICE Large Cap Capital Securities Custom Index(対米ドル為替ヘッジ付き)は、世界のハイブリッド証券市場における発行規模が大きく、流動性が高い証券のパフォーマンスを計測。対象となる証券の最低ディール規模は7億5,000万ドルで、ハイ·イールド格付け企業は国内大手または多国籍企業に限定。為替リスクは対米ドルでヘッジしています。Bloomberg Global Aggregate Bond Indexは、様々な通貨建てで発行されるグローバル投資適格債のパフォーマンスを計測する広義の市場指数。同指数を構成する3つの主要指数は、U.S. Aggregate Index、Pan-European Aggregate IndexおよびAsian-Pacific Aggregate Index。また同指数には、これら3種の地域別総合指数にまだ組み入れられていない投資適格のユーロドル建て、ユーロ円建て、カナダドル建て証券および144A指数適格証券が含まれます。社債:ICE BofA Global Corporate Indexは、主要国内市場およびユーロボンド市場で公募発行された投資適格社債のパフォーマンスを計測。ハイ・イールド債:ICE BofA Global High Yield Bond Indexは、主要国内市場またはユーロボンド市場で公募発行された米ドル、カナダドル、英ポンドおよびユーロ建て非投資適格社債のパフォーマンスを計測。グローバル株式:浮動株調整後指数であるMSCI World Index (net)は、先進国を代表する大型•中型時価総額企業のパフォーマンスを計測。配当源泉徴収税控除後。米国債:ICE BofA U.S. Treasury Indexは、米国政府が国内で発行する米ドル建て国債のパフォーマンスを計測。
ハイブリッド証券への投資に関するリスク:ハイブリッド証券戦略への投資は、投資した元本全額を失う可能性があるなど、投資リスクを伴います。これらの有価証券の価値は、他の投資と同様に、急激かつ予測不可能に大きく変動する可能性があります。当社のハイブリッド証券戦略は、投資適格未満の有価証券およびアドバイザーが投資適格未満と判断した未格付け有価証券に投資する場合があります。投資不適格証券または同等の未格付け証券は一般的に、高格付けの証券に比べ、価格の変動が大きく、元本を割り込むリスクがあり、また、経済や競合する業界の現実または事実上の悪条件の影響をより受けやすい可能性があります。当戦略のベンチマークには、投資適格未満の有価証券は含まれていません。
偶発転換社債証券(CoCo債):CoCo債は、損失を吸収する特性が組み込まれた債券またはハイブリッド証券で、例えば発行体の資本比率が一定の水準を下回った場合など、特定の状況下で、発行体の普通株式に強制転換されます。CoCo債が強制転換されるような状況下にある発行体では普通株式に配当が支払われない場合もあるため、そのようなCoCo債を保有する投資家はインカム利率がゼロになる可能性があるほか、転換によって弁済順位がさらに下がり、倒産時の投資家の立場が悪化する場合があります。そのような状況下で価値や元本の削減が行われるCoCo債もあります。また、CoCo債の多くはハイ·イールド債とみなされているため、投資適格未満の証券への投資リスクが伴います。
デュレーションリスク:デュレーションとは、固定利付証券またはハイブリッド証券の平均残存期間を数学的に計算したもので、金利(または利回り)の変動に対する証券の価格リスクの指標となります。デュレーションの長い証券は、デュレーションの短い証券に比べて、金利(または利回り)の変動に対してより敏感に反応する傾向があります。デュレーションは、満期までの期間に加え、金利の潜在的な変化、および証券のクーポン支払い、利回り、価格、額面、コール機能などを考慮する点で満期とは異なります。有価証券のデュレーションは、市場要因や満期までの時間の変化により、時間の経過とともに変化することが予想されます。
また、本資料に記載された市場予測が実現することを保証するものではありません。本資料は特定の時点での市場環境に関するものであり、投資アドバイスとして依拠すべきではありません。また、特定の証券や投資の売買を推奨するものではなく、いかなる投資のパフォーマンスも予測または描写するものではありません。本資料は受託者として提供するものではなく、いかなる投資方針や投資戦略も推奨するものではなく、投資家が有する特定の目的や状況を考慮したものでもありません。本資料に記載された情報は正確であると考えていますが、その網羅性を表明するものではなく、投資の適切性を判断する唯一の情報源として依拠すべきではありません。個別の状況に関しては、事前に投資、税務または法務の専門家にご相談ください。記載されている見解や意見は、ブローカーディーラーまたはその関係者のものとは限りません。記載された内容はいずれも、ブローカーディーラーの方針、手続、規則またはガイドラインに優先、またはそれらを回避することを認めるものとして捉えられるべきではありません。
コーヘン&スティアーズ・ジャパン株式会社は、投資運用業者として関東財務局に登録しており(関東財務局長(金商)第 3157 号)、一般社団法人 日本投資顧問業協会に加入しています。