新規発行の増加によるハイブリッド証券の投資ユニバースの多様化

 

地政学的な不確実性は、短期的にボラティリティを引き起こす可能性は高いものの、ファンダメンタルズに基づく長期的な分析によって、これらの事象を通じて明確な方向性を提供することができると考えています。

  • ハイブリッド証券は、発行体が投資適格の格付を有しながらも、ハイ・イールド債券と同程度の高い利回りを創出
  • 利回り差の観点から、ハイブリッド証券のバリュエーションはハイ・イールド債券よりも魅力的
  • ハイブリッド証券の投資ユニバースは、セクターおよび地域的に分散されており、投資家に魅力的な投資機会を提供

2025年上半期において、ハイブリッド証券は堅調なリータンを創出しており、長期金利の低下、発行体の強固なファンダメンタルズおよびテクニカル要因によるプラスの恩恵を受ける格好となりました。ハイブリッド証券の利回りは引き続き6-9%のレンジ内で推移しており、これはハイ・イールド債券のインカム水準と同等であり、ハイブリッド証券の発行体が概ね投資適格の格付を有している点を考慮すると、非常に魅力的なインカムを提供していると考えています。例えば、OTC市場で取引されているハイブリッド証券は、シングルBの格付を有するハイ・イールド債券と同様な水準のインカムを提供しながらも、相対的にボラティリティが低い特性を示しています。

また、ハイブリッド証券はバリュエーションの観点においても相対的に魅力的です。足元において、ハイ・イールド債券の利回りは、OTC市場で取引されている投資適格の証券格付を有するハイブリッド証券のそれよりもわずか76bps高い水準にあります。両資産クラスの利回り差が過去長期平均ベースで232bpsであったことを考慮すると、現時点におけるハイブリッド証券のバリュエーションが相対的に魅力的な水準にあると言えます。

ハイブリッド証券は引き続きセクター、地域および発行通貨において多様化が進んでおり、アクティブ・マネージャーとして、この傾向の継続が投資ユニバースの一段と高い分散効果につながるとみています。欧州では、4-6月期において予想を上回るユーロ建てのAT1証券の発行がありました。これは、市場での力強い需要と引き続き改善傾向にある銀行ファンダメンタルズが下支えとなり、魅力的な価格水準にある新規発行証券の良好なパフォーマンスが要因となっています。年初来、米国においては銀行は全体としてハイブリッド証券を償還してきました。これは、規制が緩和された環境下において資本要件もそれに伴って緩和されたことが背景となっています。

銀行は依然としてハイブリッド証券の主要な発行体ではあるものの、非金融セクターの発行体がシェアを拡大してきています。2024年にムーディーズが格付手法を変更した以降、公益事業者と通信会社の発行する証券は、永久優先証券からよりハイブリッドな構造を有する証券への移行が継続しています。これらの証券は、発行体が格付機関によるエクイティ・クレジットを失った際に償還するインセンティブがあるため、利回り獲得を目的とした投資家から選好されています。

著者について
Allie Quine, CFA
4707042